1)スギ花粉症とヒノキ花粉症
スギ花粉症はスギ花粉が原因となる鼻を中心とした疾患で、国民の20%弱が罹患しています。くしゃみ・鼻水・鼻つまりの鼻症状だけでなく、眼のかゆみや喉の違和感、咳をおこすこともあります。スギ花粉は2月中旬より飛散しだし、3月上旬に飛散のピークを迎え、3月末まで飛散します。桜の開花と同じく九州と東北では1ヶ月飛散期がずれます。
ヒノキ花粉症はヒノキ花粉が原因となります。スギ花粉とヒノキ花粉は構造が非常に似ているため、スギ花粉症の80%以上の人がヒノキ花粉症にもなっています。ヒノキ花粉は、スギ花粉が飛散し終わった直後の4月に飛散します。従って、スギ・ヒノキ花粉症の人は、2月から4月まで長い期間の花粉症になっています。ヒノキ単独の花粉症は稀なので、スギ花粉症にヒノキ花粉症が合併することとなります。ヒノキ花粉症の症状はスギ花粉症とほぼ同じですが、喉の症状が強いのが特長です。
花粉は地域毎に飛散状況が異なりますが、いろいろな花粉が年中飛散しています。5月にはいると、頻度は高くありませんが、イネ科のカモガヤ花粉症がでます。その他、秋にはブタクサやヨモギなどの雑草類の花粉があります。これらの花粉は大きな木からでなく、小さな花からの花粉ですので、遠くには飛ばず、地域性があります。しかし、全ての花粉が花粉症を引き起こす訳ではありません。花粉によって花粉症のなりやすさも異なります。それらの中で、スギ花粉がたくさんの花粉を飛ばして、最も花粉症を起こしやすくしています。
意外にもスギ花粉は秋にも季節外れの花粉飛散が少量あります。
小児のスギ花粉症が急増しています。数十年前には、小児のアレルギー性鼻炎はホコリが原因で、スギ花粉症は青年期に発症する疾患とされていました。ところが最近は小学生や幼少児のスギ花粉症も急増しています。大人だけでなく子供も花粉症に気をつけましょう。
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| 花粉飛散カレンダー(中部地方に飛散する代表的な花粉) |
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2)スギ・ヒノキ科花粉
スギ樹木は函館から鹿児島にかけて植生します。北海道の大部分と沖縄ではスギ花粉がないのでスギ花粉症にはなりません。しかし、北海道ではスギ花粉のかわりに白樺花粉症が問題になっています。
日本の国土の7割を占める森林の約3割がスギとヒノキ林で占められます。スギ林が約450万ha(ヘクタール)、ヒノキ林が約250万haあります。花粉は1つの雄しべに約3300個、1つの花に約13200個、20cmの小枝で約20億個作られます。1本の木で作られる花粉の重さは1kgとなり、1haのスギ林ではなんと1トンとなります。日本には約450万haのスギ林があるので、450万トンという天文学的な量のスギ花粉が作られます。
スギ花粉は小さな突起をつけた直径約30ミクロン(0.03ミリメートル)の球形で、花粉の表面と中に花粉症の原因となる物質をいれています。非常に軽いため気流に乗って100km以上遠くにも飛散します。家の近くにスギの木があるから花粉が多いというのではなく、ほとんどの花粉は遠い山脈から大量の花粉がジェット気流にのって飛散してきます。スギ花粉は水に溶けてなくなりますので、雨が降ったり、海に落ちるとなくなります。
3)2007年スギ・ヒノキ科花粉飛散予想と対応
これまでのスギ花粉飛散の傾向からスギ花粉は1年毎に飛散の多い年と少ない年を繰り返しています。2006年は全国的にスギ花粉が少ない年でした。2007年は順番的には多く飛散する年となりますが、幸い大飛散はなさそうです。スギ花粉の生育は前年夏の気象に左右され、7月の気象が良好ならば花粉も多くつきます。2006年夏の気象はあまり良くなかったため、花粉が生育しにくい条件でした。全国的には平年より少し少ない飛散となりそうです。しかし、花粉症を引き起こすには十分な数が飛びますので、油断せずに十分な対策に心がけてください。
ヒノキ花粉の飛散数はスギ花粉と同じ傾向になります。従って、ヒノキ花粉もやや少ないでしょう。ヒノキ樹林は西日本に多く植生します。
4)花粉症の治療
花粉症の治療は、抗原回避と薬の治療が基本です。
抗原回避とは、花粉を吸い込むことをできる限り避けることです。食べ物のアレルギーの場合は、アレルギーの原因となる食べ物を避ければ完全に回避できます。しかし、空中に浮遊して目に見えない花粉を全く吸い込まないのは不可能です。抗原回避は、完全に花粉から逃げるのではなく、花粉を吸う数を少なくすることを目標にしましょう。同じ数の花粉が飛散していてもマスクで鼻の中にはいる花粉を半分にすれば、症状は軽くなります。
スギ花粉は抗原回避しても鼻に花粉がはいってしまいます。そのぶん症状が出てしまいます。薬を有効的に使って症状を抑えましょう。最も効果的なのは、花粉症に対して計画的に薬を服用することです。スギ花粉の飛散する約2週間前から薬を服用することが勧められています。最近の薬は、眠くなりにくく効果のある薬がでていますので、医療機関で症状にあわせての治療が勧められます。厚生労働省やアレルギー学会の働きかけで花粉症治療のガイドラインも出ており、スギ花粉飛散前から医療機関でよく相談しましょう。
最近の研究の結果から、花粉症の薬は症状時だけ服用するのではなく、継続して服用することでより効果が高いとされています。スギ花粉の飛散時期は地域により異なりますので、花粉情報などを参考にして忘れることなく服用してください。
専門医では、減感作療法とよばれている免疫療法も行われています。
| スギ花粉症の治療 |
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スギ花粉からの回避(抗原回避)が第一段階 |
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花粉症の薬は花粉飛散前から |
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花粉飛散期は症状がなくても薬を服用し続ける |
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5)日常生活をどうする
花粉飛散の多い日には洗濯物やフトンを屋外に干さないようにしましょう。洗濯物とともに室内にはいった花粉は、なかなか部屋から消えません。まめに掃除をして、花粉を排除してください。
眼鏡・マスクなどを着用し、花粉の吸入を少なくしましょう。通常のマスクで鼻にはいる花粉を半分にできます。性能のよいマスクは1/3程度にできます。
花粉飛散の多い日は無用な外出を避けましょう。体調に注意をはらって規則正しい生活に心がけましょう。
| スギ花粉の回避法(鼻アレルギー診療ガイドライン2005より抜粋) |
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花粉情報に注意する |
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花粉飛散の多い日は外出を控える |
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花粉飛散の多い時は窓・戸をしめておく |
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花粉飛散の多い時は外出時マスク・メガネを使う |
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表面がけばけばした毛織物などのコートの使用は避ける |
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帰宅時、衣服や髪をよく払い入室する。洗顔・うがいをし、鼻をかむ |
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掃除を励行する |
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6)どの様な日に花粉が多く飛散する?
スギ花粉はいつも同じように飛散している訳ではありません。日によっても時間によっても違います。1日では、午後に多く飛び、夜間は少ないです。スギ花粉が良く飛ぶ日は、風の強い日、暖かい日です。山から街に向かって強い風が吹くと、ジェット気流にのって数十キロ以上はなれた花粉源から飛んできますので、風向きに注意しましょう。雨の日は飛散しませんが、雨上がりは特に注意で、雨の降る直前にも上空の花粉が舞い降ります。
今日どれくらい飛びそうかは、いろいろな機関から公開されているホームページや新聞などで確認できます。それぞれのホームページではスギ花粉飛散情報や花粉対策など、趣向を凝らした内容が公開されています。是非、参考にしてみてはいかがでしょうか。
7)花粉飛散が終わったら
室内のベットの下や家具の裏にはたくさんの花粉が残っています。屋外の花粉は雨でとけたり、土壌に吸収されてなくなりますが、室内の花粉はなくなりません。花粉飛散が終わったら一度部屋の隅々まで掃除しましょう。 |