●花粉症とは
花粉症とは、花粉が原因(抗原)のアレルギー疾患です。花粉症とは、鼻だけでなく眼、皮膚、さらには発熱といった全身症状まで起こるため名付けられました。つまり、その症状は多彩です(図1)。原因となる花粉の種類によってスギ花粉症、ブタクサ花粉症などと呼んでいます。日本における代表的な花粉症は、春のスギ、ヒノキ花粉症、梅雨から夏のかもがや花粉症、秋のブタクサ花粉症などです。とりわけ、春のスギ花粉症の頻度が最も高く、その有症率は一般住民の15%前後と推定されています。
| 図1 |
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●花粉症は何故起こる
花粉症の症状は、花粉が人体内に侵入するところから始まります。花粉(抗原)は主に粘膜から侵入し、まずアレルギー反応が起きて症状が出ます。始まりはアレルギー反応ですが、次からは組織の変化、知覚神経、自律神経などを介して過敏性が高くなり、ついには発作性、再発性に起こるようになります。すると前よりもさらに小さな刺激や少ない抗原が侵入するだけで症状が出るようになり、悪循環が形成され、ますます反復して慢性的になります。この症状の強さには、体調や環境が影響します。
●花粉症の初期療法
花粉症対策で最も大切なことは、前述した悪循環を断つ、すなわち発症や悪化を予防することです。治療を医療機関で行うことは勿論ですが、予防には自己管理が何より大切です。つまり、非発作期に鼻や眼の粘膜が乾燥冷気や大気汚染、インフルエンザをはじめとする感染などによって障害されないように防御することです。とりわけスギ花粉症には直前の冬の対策が肝心です。具体的には居間、寝室の温度、湿度を調節(洗濯物を干す、洗面器に水を張るなど)する、マスクや眼鏡で鼻や眼の乾きを防止する。室内空気の汚染を防ぐために、換気を心がける。などです(表1)。
医療機関では、花粉症が起こる前から、免疫療法(減感作)を施行したり、予防的効果が期待される薬剤をあらかじめ計画的に服用しておくことが勧められます。
自己管理と医療機関で行う初期治療をあわせて、私どもは初期療法(図2)と呼んでいます。専門医と相談の上での早めの対応をお勧めします。
| 表1 花粉症対策のコツ |
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| 花粉症の対策はいくつもありますが、自分でできる方法と医療機関での治療を組み合わせる必要があり、またそれが最善と考えられます。自分で出来る方法を大きくわけると生活環境の調整と行動の工夫です。また、原因花粉が飛ぶ前と飛びはじめてからでは、対策も異なります。さらに、あらかじめ医療機関でしておかなければならない対策は、正しく診断を受けておくこと、シーズン前から免疫力(減感作療法)をつけておき、防御的効果が期待できる薬剤を花粉が飛散する数週前から用いることです。こうした計画的な治療法を初期療法と呼んでいます。この療法は従来の薬物のみの治療と比較して効果的で、多くの方がシーズンを軽く過ごすことが出来ます。 |
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| ○ |
花粉が飛ぶ前 |
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体調の維持と鼻の粘膜の保護が重要です。対策を実行に移す時期は、花粉飛散予測を参考にすると的確に実行できます。 |
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| 1. |
花粉症および花粉飛散予測などの情報収集。 |
| 2. |
花粉症の正確な診断(原因抗原と重複抗原の確定)。 |
| 3. |
花粉症治療の障害となる合併症の治療。 |
| 4. |
規則正しい生活リズム。 |
| 5. |
冬の乾燥した冷気からの鼻粘膜の保護。(秋の花粉症では夏バテ予防が大切。)
加湿を目的としたマスクの使用。寝室に水を置く、洗濯物を干す。 |
| 6. |
感染症(上気道炎、インフルエンザ等)の予防と治療。 |
| 7. |
飛散期対策の準備。 |
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| ○ |
花粉が飛んでから |
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少しでも花粉を吸い込まないために、必要な対策を行う。 |
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| 1. |
花粉飛散予報(現在スギ花粉以外はない、北海道ではカバ属)を上手に利用。 |
| 2. |
不用、不急の外出を避ける。 |
| 3. |
止むを得ない外出の時には、眼鏡、マスク、帽子、外套を利用。 |
| 4. |
洗濯物を外に干さない。 |
| 5. |
掃除は窓を閉めて行う。埃の中の花粉に注意する。 |
| 6. |
布団干しは、屋内で陰干し。 |
| 7. |
帰宅時は外套を脱いで家に入る。帰宅したら、手洗いと洗顔。 |
| 8. |
外出時急に症状がでたら、急いで屋内に。 |
| 9. |
掃除機の本体は部屋の外に(非排気型の掃除機の使用)。 |
| 10. |
旅行は目的地を良く調査してから。 |
| 11. |
屋外スポーツも要注意。 |
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| ○ |
花粉が飛び終えてから |
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次のシーズンに備える。 |
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| 1. |
治療効果の確認。 |
| 2. |
シーズン中に受けた鼻粘膜の障害を確実に元に戻す。 |
| 3. |
室内塵に残った花粉を吸い込まない。 |
| 4. |
重複する抗原に対する対処。 |
| 5. |
体力の維持、増進。 |
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| 図2 |
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●花粉飛散期の吸入防止対策と治療
花粉飛散期に大切なことは花粉の吸入防止策です。空中飛散花粉の観測方法や観測結果を皆様にお知らせする方法も近年大きく進歩しました。花粉情報協会、環境省、日本アレルギー協会、地方自治体などが情報源となり、リアルタイムの花粉飛散状況をお知らせしています。花粉症の方はこうした情報を多いに利用して花粉の吸入防止に努めて下さい。最近のマスクや眼鏡は性能が向上するだけでなく、安価になっていますのでご利用ください。医療機関における治療もアレルギー学会から治療指針が示されるなど、強化、充実がはかられていますので、ぜひ専門医にご相談下さい。
●どうなる2006年
2006年の花粉、とりわけスギ花粉はどうなるでしょう。2005年春はスギ、ヒノキ花粉の空前の大飛散が全国的に見られました。その影響が花粉症発症者や抗体保有者の多くの方に大きく残っています。2005年夏は昨年ほど暑くなく、花粉の生産数は少なく、過去の平均を下回りそうです。しかし、直前の冬は20年振りの寒い冬になりそうです。スギは冬の間、動物で言う冬眠(休眠)をしますが、この間の気温が低いほど、大きな花芽となるそうです。花粉の大きさは年によって異なります。春の訪れが遅いかというとそうでもないと予測されています。つまり2006年も油断できません。花粉症の方は、2006年も早めの対応をお勧めします。
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